日本人ならば、誰もが一度は目にしたことがある「カセットコンロ」。もしかして、1家に1台、カセットコンロを常備しているかもしれません。
卓上カセットコンロは一般家庭からキャンプなどのアウトドア、非常用まで幅広いシーンで便利なアイテム。
このカセットコンロと言えば、イワタニ/Iwatani。
イワタニの正式な会社名は岩谷産業株式会社。
イワタニは1930年に創業の歴史あるプロパンガス企業。プロパンガス事業がバックボーンにあり、自ずとイワタニのカセットコンロが誕生したのは想像に難くありません。
イワタニのカセットコンロは歴史が長く、日本人の生活に溶け込んでいます。カセットコンロ自体、派手で目立つハイテクなイメージはないものの、いざという時に重宝します。
ごくごく普通のカセットコンロながら、当ブログ管理人はイワタニのカセットコンロは不朽の名作だと思うのです。
そこで、当ページで改めてカセットコンロの歴史と特徴、メリットを考え直してみたいと思います。
イワタニ、カセットコンロの歴史
イワタニのカセットコンロが誕生したのは1969年。日本の経済成長と共に歩んできたカセットコンロは、あたかもハクキンカイロやZIPPOライターのように「いぶし銀」的な存在。
1969年
1969年、イワタニからカセットコンロ1号機、「イワタニホースノン・カセットフー」が発売されました。
もし、あなたが平成生まれでしたら、昭和の歴史をご存知無いかもしれません。念のため、昭和当時の歴史を簡単に説明しましょう。
なお、管理人は1969年当時の日本を知りません。以下は、昭和史に残る記録です。
1977年
1977年、初代、焼き肉用グリル「G1」発売。
1985年
1985年、銅の約200倍の熱伝導率を誇る「ヒートパイプ」がイワタニのガスコンロ/カセットフーに装着されました。
当時、カセットボンベをセットするカセットコンロは、時間経過と共に火力が低下する問題点を抱えていました。
燃焼による気化熱の発生
▼
カセットボンベの温度低下
(※圧縮された液体が気体に変化すると、周囲の熱を奪うため。)
▼
ガスの気化が悪化
▼
火力の低下
この問題を解決すべく、バーナー部の熱をヒートパネルでカセットボンベに伝えるように設計変更されました。この設計により、カセットボンベ内のガスを最後まで燃焼させることが可能になったのです。
1987年
1987年、初代、カセットボンベ式ホットプレート「焼き上手さん」発売。
1991年
1991年、鏡面ステンレスを採用したカセットフーシリーズのプレミアムモデル「アモルフォ」が誕生。同年、グッドデザイン賞を受賞。
1994年
1994年、ヒートパイプと同レベルの熱伝導性を誇るヒートパネルを採用したモデルを発売。
1999年
1999年、初代たこ焼き器、「カセットガスジュニアたこ焼器」を発売。
2002年
2002年、業界初のお知らせ機能付きカセットコンロ「カセットフーASF-35」を発売。
2003年
2003年、輻射熱で網焼きと串焼き料理が楽しめる初代「炉ばた大将」を発売。
2010年
2010年、プレミアムモデル「アモルフォ」がフルモデルチェンジ。「アモルフォプレミアム」に改名され、再点火型立ち消え安全装置と内炎式バナーを搭載。
2012年
2012年、風に強いカセットコンロ「カセットフー風まる」を発売。
2016年
2016年、煙が少ない焼肉グリル「やきまる」を発売。
2019年
2019年、カセットフー誕生50周年を記念したモデル「達人スリムⅢ」と「プチスリムⅡ」を発売。
2020年
2020年、「カセットフー マーベラスⅡ すみれ」発売。
2021年
2021年、アウトドアブランド「FORE WINDS」をリニューアル。「カセットガス炊飯器“HAN-go”」発売。
2022年
2022年、「mini-maru(ミニマル)」発売。
2023年
2023年、屋内外兼用カセットガスストーブ「マル暖」(MULTI HEATER)発売。
2024年
2024年、「イワタニカセットフー“極”」発売。
イワタニ、カセットコンロの特徴
イワタニのカセットコンロが50年以上にも亘り、人々から愛されている理由として、以下の特徴が挙げられます。
軽量&コンパクト
イワタニのカセットコンロは軽量&コンパクト。収納に場所を取らず、持ち運びが便利。
様々なシーンで使える
カセットコンロは軽量&コンパクト。スペアのカセットボンベを用意すれば、インドアからアウトドアまで、いつでもどこでも煮炊きできます。
災害時に強い
台風災害、水害
益々、狂暴化する巨大台風。
巨大台風が日本列島に上陸し、各地に深刻な爪痕を残しています。また、南海トラフ巨大地震が30年以内に発生すると想定されています。
土石流災害
2021年7月3日の10:30頃、静岡県熱海市伊豆山地区を襲った伊豆山土砂災害。大規模な土石流が逢初川流域を飲みこみました。
私たちは自然災害に対して、あまりにも無力。同時にライフラインは一定期間、寸断されてしまいます。
電気、水道、ガスのライフラインがストップしたら、卓上IHクッキングヒーターでは役立たず。このような災害時、大いに活躍してくれるのがカセットコンロ。
2011年の3.11/東日本大震災の発生後、イワタニは被災地にカセットコンロ14,112台、カセットガス85,152本を無償提供し、被災した方々に「あたたかさ」を届けました。
カセットコンロならば、AC100V電源も電池も充電も不要。カセットコンロにカセットボンベをセットするだけで、非常時の温かい飲食を約束してくれます。
たこ焼き、焼肉、炉端焼きもOK
料理に応じたラインアップが用意されています。
【ラインアップ】
たこ焼き専用のたこ焼き器、「スーパー炎たこ」、焼肉グリル「やきまる」、炉端焼き器の「炙りや」
【オプションプレート】
網焼きプレート、焼肉プレート、フッ素加工・鉄板焼きプレート、フッ素加工・たこ焼きプレート、焼肉グリル
家庭用ガスコンロに肉薄する火力
イワタニのカセットコンロの最大発熱量は4.1kw(3,500kcal/h)(最強火力モデル:カセットフーBO-プラスの場合)。
対する、家庭用ガスコンロの火力は最大で3,600kcal/h前後。
最強火力モデルは家庭用ガスコンロの火力に肉薄します。
必要十分な燃焼時間
カセットコンロの3.5kW(3,000kcal/h)モデルの場合、強火で約1時間、燃焼が続きます。
仮に、30分間の燃焼時間では短く、1時間を超える燃焼時間を実現させるとなると、カセットボンベの容量とコンロ本体が大きくなり、持ち運びが不便になります。
よって、約1時間という燃焼時間が絶妙と言えます。
日帰りキャンプならば、スペアのカセットボンベを2~3本用意しておけば、困ることはありません。想定外のシーンでガスが無くなってしまっても、コンビニでボンベを調達できます。
カセットボンベの高い入手性
この手のカセットコンロは室内のみならず、キャンプなどのアウトドア、非常時などの幅広いシーンで使われます。よって、カセットボンベの高い入手性がカセットコンロの利便性を担保できます。
町のコンビニからスーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等で必ずと言っていいほどイワタニのガスボンベが見つかります。
サードパーティー製の互換カセットボンベもあり、日本国内でボンベの入手に困る事はありません。
カセットボンベInfo.
高い堅牢性
カセットコンロ本体は金属パーツで構成され、内部構造は部品点数が少なくシンプル。カセットコンロがアウトドアで想定される水や砂埃の影響を受けても、簡単な手入れで継続使用できます。
カセットコンロの構造がシンプルである以上、トラブルが少なく、長期的に使用できます。
プレミアムモデル
アモルフォプレミアム/AMORFO PREMIUMはイワタニのカセットコンロにプレミアムなデザイン性が与えられたモデル。
有機的な曲面でデザインされたコンロのボディは調理シーンの雰囲気を高めてくれます。
購入しやすい価格帯
イワタニのカセットコンロ/カセットフーの価格帯は3,000円台から25,000円台。ベストセラーモデルは4,000円前後。非常用を含めて、複数台を常備しておいてもいいでしょう。
外炎式と内炎式,多孔式のメリット,デメリット
カセットコンロのガスバーナー部は外炎式(がいえんしき)と内炎式(ないえんしき)、多孔式(たこうしき)の3種類。
外炎式
一般的なカセットコンロは外炎式。
メリット
・炎の熱が鍋やプレート全体に伝わる
・コスト安
デメリット
・炎の熱が外へ逃げやすい
外炎式は、湯沸かしや鍋料理、プレート料理まで幅広く対応。
内炎式
イワタニ、カセットコンロのプレミアムモデルに採用されている内炎式。
メリット
・炎の熱が外へ逃げにくい
・大きな鍋の使用が可能
・少ないガスで大きな熱量
デメリット
・コスト高
熱伝達の効率が高く、省エネ設計。
多孔式
メリット
・風の影響を受けにくい(アウトドア向き)
※2021年9月現在、イワタニ、カセットコンロのラインアップに多孔式はありません。
カセットコンロの用途
カセットコンロは多彩なシーンで活躍します。
鍋料理
焼肉
おでん
たこ焼き
カセットコンロ vs 炭火
一戸建ての庭やアウトドアで料理する場合、熱源は「カセットコンロ」と「炭火」の二択。それぞれメリットとデメリットがあります。
そこで、改めて両者のメリットとデメリットを整理したいと思います。
カセットコンロ
メリット
・準備と後片付けがラク。
・火加減が自由自在。
・いつでも火を止めることができる。
・アウトドアのサンシェードやタープの下で料理ができる。
・火の粉が飛ばない。
・カセットボンベの入手性が高い
デメリット
・料理の味は炭火焼きより劣る。(鉄板焼きは別)
・ガスコンロは風に弱い。
→アウトドアの使用がメインならば、風に強いカセットフー「風まるⅡ」の使用を推奨。
・ガスの火力は遠赤外線を放出する炭火より弱い。
・気温が-10℃以下では、着火しにくくなる。
・標高が約2,000mを超える高地では、着火しにくくなる。
カセットコンロを考察
管理人はしばらくの間、カセットコンロのデメリットを考えていました。カセットコンロは高地の雪中キャンプのような厳しい環境下での使用を除き、意外とデメリットが少ないことに気付かされます。
もちろん、炭火焼の方が食材に均一に熱が入り、旨味を閉じ込めることができます。焼き鳥やBBQならば、炭火焼の方が断然、美味しく料理できます。
料理の味に関しては炭火が上ながら、それ以外のカセットコンロの致命的なデメリットが思いつかないのです。
鉄板焼き料理ならば、ガスコンロでも問題なく食材に熱を加えることができるため、あえて炭火に拘る必要は無いでしょう。
カセットコンロの結論
・利便性を求める派向き。
・アウトドア初心者から上級者までOK。
炭火
メリット
・炭火の遠赤外線で食材の旨味を引き出せる。
・冬季の炭火は暖かい。
・氷点下でも、炭の着火OK。
・標高が高い高地でも、炭の着火OK。
デメリット
・準備と後片付けに手間がかかる。
・必要な道具が多く、嵩張る。
・火加減が難しい。
・炭火はすぐに消せない。
・アウトドアのサンシェードやタープの下で料理できない。
・火の粉が飛ぶ。
・夏の炭火は暑い。
・良質な炭は価格が高い。
炭を考察
炭火焼の最大のメリットは食材に均一に熱が入り、旨味を閉じ込めることができるところ。それ以外の炭のメリットとして、高地の雪中キャンプでも炭を使うことができます。
しかし、炭火で美味しい料理を追及するためには、準備と後片付けに手間がかかります。着火方法や火力のコントロール等、炭は取り扱いが難しい一面があります。その他のデメリットも無視できません。
炭の結論
・料理の味を追求する派向き。
・アウトドア上級者向き。
まとめ
イワタニのカセットコンロはハクキンカイロやZIPPOライターのように、燃料さえ調達すれば、いつでもどこでも使うことができる手軽さが一番のメリット。
カセットコンロは用途を絞って商品化されている以上、構造がシンプルで部品点数が少なく、メンテナンスはほとんど不要。
カセットコンロは室内からアウトドア、非常用まで守備範囲が広いのが特徴。しかも、カセットボンベは入手性が高くて便利。
当ブログ管理人が改めてカセットコンロを見つめ直した結果、以下の結論に達しました。
やはり、カセットコンロは令和の時代も愛され続ける鉄板の「不朽の名作」。
もし、あなたの自宅でカセットコンロが眠っているならば、週末あたりにカセットボンベの在庫をチェックしてみてはいかがでしょうか?ついでに、コンロの動作を確認してみると安心です。
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