家づくりを検討している30~40代の子育て世代は、まずは家の情報収集からスタートします。家は一生の中で最も高額な商品。
子育て世代は住宅情報誌やインターネットでリサーチしたり、住宅展示場へ足を運んだり、ビルダーの各種イベントに参加して、自分たちの夢を叶えてくれそうなビルダー探しが続きます。
夫婦のどちらかがハウスメーカーや工務店、設計事務所などの建築業界で働いていれば、業界事情に詳しくて当然です。よって、選択肢がある程度は決まってくるかもしれません。
他方、それ以外の業界の方は、どの建築業者に依頼したらいいのかサッパリ分かりません。
基本的に家の購入頻度は一生に一度のため、家の情報量があまりにも足りないのです。
まずは、家づくりのプロセスで最初に大手ハウスメーカーを選ぶのか、地場工務店なのか、設計事務所なのか決める必要があります。
しかし、この時点で何を基準に選んだらいいのか頭を悩ませるのです。
そこで、家づくりで妥協してはならないポイントがあります。
そのポイントをきちんと押さえることで、30年、40年という長い年数に亘り大きく後悔することなく、快適かつ健康的で経済的な家が完成するのです。
では、家づくりで大いに気になる大手ハウスメーカー、地場工務店、設計事務所の特徴とメリット、デメリットについて解説します。
大手ハウスメーカー
特徴
大手ハウスメーカーは住宅展示場にモデルハウスを構え、コストをかけたマーケティングを展開しています。大手は全国に営業マンを抱えているため、当然ながら人件費もかかります。また、テレビCMや各種ペーパーメディア広告でブランディングを展開しています。
よって、大手ハウスメーカーの坪単価は地場の工務店に比べて高くなります。
しかし、大手ハウスメーカーは開発と設計から工場での生産、施工まで、組織によりきちんと管理されているため、家の品質は高いと言えます。
また、アフターサービスのシステムもきめ細かく整えられているため、家の完成後、20年、30年が経過しても、定期的に情報誌やリフォーム情報誌が届きます。
また、ハウスメーカーによっては木造と鉄骨造の選択肢があり、幅広いラインアップが揃っています。
メリット
・安心設計、施工
・安心なアフターサービス
・一条工務店やスウェーデンハウスのように本格的な高気密高断熱住宅を建てているハウスメーカーがある。
・家の耐久性が高い傾向がある。(ローコスト住宅を除く)
デメリット
・坪単価が高め(坪60万円~)
・自由設計とは言いながらも、制約がある場合が多い。(工法によっては、部屋の広さを2~3坪増やしたくても難しいケースあり。)
・全国展開している大手ハウスメーカーの家の性能(※)UA値(外皮平均熱貫流率)、C値(気密値)は標準的。
・建設予定地の隣家の影や日射取得を設計に組み込んでいるとは限らない。
※UA値とC値については過去ブログをご参照ください。
地場工務店
特徴
地場の工務店は在来工法の木造住宅専門店。全国各地の工務店は数人から10人以内のスタッフで運営している会社が大多数。
一口に工務店と言っても、地場に密着した工務店からハウスメーカーの下請け工務店、フランチャイズ(FC)型工務店、建売住宅をメインにした工務店、公共工事を請け負う工務店まで様々です。
これらの中で、フランチャイズ型の工務店は少々、特殊な立ち位置です。
フランチャイズ型工務店
フランチャイズ型の工務店は本部の設計士や建築家が設計した家を販売し、職人が現場で施工します。フランチャイザーである本部が何種類かの家の基本形を設計して用意してあります。
例えば、A、B、Cプランの家があるとします。
各プラン毎に延べ床面積の違いがあり、ある程度、間取りの変更が可能。このタイプの家は規格化されているため、本部は資材や住宅設備を大量に仕入れることが可能となり、仕入れコストが安くなります。結果的に、コスパが高い家が完成します。
デメリットとして、建設予定地の場所や形状にマッチする家づくりが難しくなる場合があります。また、隣家の影の影響を受けて、日当たりが悪化する場合もあります。その場合、セミオーダーや設計士による自由設計で家づくりができる工務店もあります。
概ね、全国の工務店は各地域の気候を知り尽くしているため、建設予定地にマッチする家を建ててくれる可能性はあります。ただ、工務店の設計レベルと職人さんたちの施工技術、現場の管理監督にばらつきがあるのは否定できません。
木造の構造計算について
木造二階建て住宅は建築基準法第6条1項四号(通称、四号建築物)に該当する建物です。具体的にはこちら。
・100m2以下の建物
・木造で二階建て以下、延べ床面積が500m2(151坪)以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下
以上に当てはまる木造に構造計算が不要です。つまり、一般的な木造住宅は構造計算が不要なのです。これは、一般的には知られていません。
2016年の熊本地震で、多くの木造住宅が全壊した映像がニュースで報道されました。それらの映像から、多くの人は木造は地震に弱いと思い込んでしまったかもしれません。
全壊してしまった木造住宅は昭和の時代に建てられた古い家であり、きちんと構造計算しないで建てられた木造である可能性があります。
いつ、どこで大地震が発生するか予測できない日本において、構造計算をしないで木造の家を建てるのはハイリスク。南海トラフ巨大地震が高い確率で30年以内に発生すると叫ばれている昨今、木造の構造計算は必須なのです。
メリット
・坪単価が大手ハウスメーカーより安い。(坪45万円~)
・完全自由設計に対応。中には、予め設計された商品住宅を扱っているFC工務店もある。
・設計と施工技術が高いスーパー工務店は大手ハウスメーカーの家の性能(UA値、C値)を超える家を建てている。
・設計技術が高い工務店は建設予定地と隣家との位置関係と影を計算して設計する。
・木造でも構造計算により耐震等級3を取得できる。
デメリット
・工務店の設計レベルに幅がある。
・職人の施工技術に幅がある。
・工務店に構造計算を依頼しなければ、構造計算をしないまま設計されてしまう可能性。
設計事務所
特徴
一口に設計事務所と言っても、事務所によって得意分野があります。
主に、鉄骨S造の家やオフィス、店舗などを設計している事務所もあれば、在来工法の木造の家を専門に設計している事務所もあります。また、RC造に特化した設計事務所もあります。他に、木造からS造、RC造まで設計している設計事務所もあります。
メリット
・完全自由設計で家づくりができる。
・営業マンがいないため、設計士と直接、専門的な話し合いができる。
・腕のいい建築士に設計を依頼すると、トップクラスの高気密高断熱住宅が実現する。
・建築士が現場で管理業務を行うため、手抜き工事をされにくい。
デメリット
・デザイン重視の設計事務所に家の気密性と断熱性能は期待できない。
・設計事務所の設計レベルにばらつきがある。
・設計事務所は少数精鋭の事務所が多く、仕事量によっては完成まで日数が必要となる場合がある。
・設計料と管理料が発生する。
コスパを求めるなら工務店か設計事務所
確かに大手ハウスメーカーならではの安心感があります。ただ、大手ハウスメーカーの家の性能は普通レベル。大手は高コスト経営のため、総じて坪単価が高くなります。
家にコスパを求めるならば、地場の工務店や設計事務所がおすすめです。
ここで誤解の無いように管理人が伝えたいこととして、このページで「コスパが高い」とは、「価格の割には、満足できる家が建つ可能性がある。」という意味です。「価格が安くて、まずまずの家。」という意味ではありませんのでご了承ください。
工務店と設計事務所の設計レベルと職人さんたちの施工技術には幅があるため、オフィシャルサイトで何を売りにしている会社なのか十分リサーチする必要があります。あと、施工実績から、どのような家を建ててきたのか確認します。
その後、気になる工務店や設計事務所が見つかったならば、問い合わせするなり、無料相談会などに参加して、担当者や設計士から説明を受けることで、より、その会社と出来上がる家の像が見えてきます。
後悔しないための家づくり
以下、大手ハウスメーカー、工務店、設計事務所を「ビルダー」と表現します。大都市圏から地方都市圏まで、多くのビルダーがしのぎを削っています。
ビルダーは家を設計し、あらゆる資材や住宅設備を仕入れて1軒の家を完成させます。この流れは、飲食店の料理と一部、似ています。
ビルダーはシェフに似ている
例えば、中華料理のシェフが試行錯誤しながら、新しいメニューを完成させたとしましょう。これは、料理の設計段階に相当します。
シェフが新メニューの販売開始にこぎ着けたら、料理に必要な食材と調味料を仕入れます。注文が入ったら、調理器具で食材に熱を入れながら絶妙なタイミングで調味料を入れ、更に次の食材を入れ、火加減し、最終的に料理が出来上がります。
ほぼ同じ食材と調味料で料理しても、シェフによって味の差が出るのです。
出来上がった料理が美味しいのか、そうではないのかは食の好みがあり、個人差があります。ただ、多くの人が食べても美味しくなければ、二度とその店には行かなくなります。他の店を探せばいいし、それが食通の楽しみです。
ビルダーを決めたら後戻りできない
しかし、そうはいかないのが家づくり。
子育て世代がビルダーを決めて工事請負契約書を交わした以上、もう後戻りできません。地鎮祭、工事着工、建物上棟、内部造作工事を経て、夢のマイホームが完成します。
そして、入居後、半年、1年経過すると、家に対する不満が出てくるのが普通です。
「ここは、こうすれば良かったかも?」といった、小さな後悔はあって普通なのです。ところが、想定外の問題に直面して悩みが深いと、後悔も大きくなります。
「天窓を付けたら、夏が暑い!」
「吹き抜け空間が夏、暑い!冬、寒い!」
「吹き抜け空間の窓って、位置が高すぎて掃除できない・・・」
「朝、東の窓から入ってくる朝日が眩しい!夏、暑い!」
「西の窓から入ってくる西日が眩しい!夏、暑い!」
「屋根に軒が無いため、夏は窓から日射熱がダイレクトに入ってくる・・」
「隣家の影でリビングの日当たりが良くない」
「玄関に広い土間を作ってもらったけど、結局、物を積み上げている・・」
そして、築10年後、
「屋根に軒が無いから外壁が汚れやすい。家の点検で外壁塗装が必要と言われた・・」
「2階建ての木造に屋上空間を作ったけど、家の点検で防水工事が必要と言われた・・」
「全館空調が壊れた!修理費用が200万円かかる!」
1度、家を建てたら、もう後戻りできません。
お施主様の多くは、我が家の中で小さな失敗を経験しています。小さな失敗であれば、まだいい方です。しかし、大きな失敗は取り返しがつきません。
家づくりで誰もが小さな失敗はあれど、大きな失敗をすると後悔することになるのです。
高性能な高気密高断熱住宅は多くはない
高気密高断熱住宅がトレンドの住宅業界の中で、高性能な高気密高断熱住宅は多くはありません。
この背景として、2020年現在、高気密高断熱住宅の基準が無いからです。「建物のUA値(外皮平均熱貫流率)とC値(気密値)が一定の値以下であれば、高気密高断熱住宅である。」という認定基準が存在しないのです。
要は、「当社の家は高気密高断熱住宅!」と言ったもの勝ちなのです。
これが理由で、あなたが検討している家の性能が高いのか低いのかはっきりしないのです。
そこで、家の性能を確認するためには、ビルダーの設計士に家の「UA値」と「C値」を聞いてみてはいかがでしょうか?
もし、はっきりした回答が得られない場合、そのビルダーは高気密高断熱住宅を建てていない、あるいは得意ではないと判断できます。
性能が高い高気密高断熱住宅は木造
鉄骨造(S造)の家は確かに耐震性能は高いものの、無視できないデメリットがあります。
それは、S造の家は夏は暑く、冬は寒くなりやすい傾向があります。鉄は木より非常に熱を伝えやすい素材。身近な例として、金属製の「手すり」は夏は熱を持ち、冬は冷たくなります。
S造の家は夏、高い外気温で鉄骨が熱を持ち、室内を暖めてしまいます。そして、冬は低い外気温が鉄を冷やしてしまい、室内を冷やしてしまうのです。鉄という素材が持つ特性が住空間に悪影響を与えやすいのです。
その点、木は温かい素材。
木製の「手すり」は夏でも熱を持ちにくく、冬は温かさを感じます。木という素材そのものは断熱性能が高いため、適切に木造住宅を設計することで夏は涼しく、冬は暖かい家が実現します。
ちなみに、2021年現在、UA値とC値が低い(断熱性能と気密性能が高い)家の上位は「木造」が独占しています。これは、大手ハウスメーカーの家を含んだデータです。
このデータからも、性能が高い高気密高断熱住宅を目指すと、自ずと木造になることを意味します。
UA値0.5以下、C値1.0以下がおすすめ
一生の中で一番、高価な買い物である家。この家に性能を判断できる「数字」が無いならば、何かおかしいと思いませんか?
二番目に高価な自動車を購入する時、カタログの仕様に
・ボディサイズ
・エンジン排気量
・エンジン出力とトルク
・燃費
以上のデータが必ず記載されています。
更に、カタログには最低地上高、タイヤサイズ、シートのサイズ、室内空間の寸法、エンジンの気筒数、ボアピッチ×ストローク、ギヤ変速比などの数字が事細かく記載されています。
今も昔も、自動車のカタログには、性能を示す数字が記載されていて当然。
ところが、住宅の分野では2024年現在でも、ビルダーのホームページやパンフレットにUA値とC値が記載されていないケースの方が多いのです。
多くのビルダーは、おしゃれな家の外観と内観の写真、流行りのシステムキッチンやバスルーム、洗面所、ウォシュレットなどの住宅設備の写真をホームページとパンフレットに掲載しているのが実情であり、肝心な家の性能を示す「数字」が出てこないのです。
ビルダーによって家のデザインに違いがあり、それぞれ独自性は見られます。ただ、家の外観と内観写真だけでは、家の性能は分からないのです。
高性能な家なのか判断するためには、「UA値」と「C値」が重要ポイント。
家のUA値が「0.5」以下、C値が「1.0」以下であれば、2024年現在、日本の6地域でトップクラスの断熱性能と気密性能を兼ね備えています。
このような高気密高断熱住宅を一言で表現すると、「夏は涼しく、冬は暖かい家」。
断熱性能と気密性能が高い家とは、魔法瓶のような家。魔法瓶に熱湯を入れると長時間、熱いお湯をキープできます。そして、氷水を入れると長時間、冷水をキープできます。
冬季、高性能な高気密高断熱住宅ならば、エアコン暖房(+床下エアコン)で十分に暖を取ることができます。家全体が暖かければ、バスルームでのヒートショック現象を予防できます。
梅雨の時期、エアコンの[除湿]ボタンONで、家全体が除湿できます。そして、夏季、エアコン冷房で家中が涼しく快適です。結果的に1年を通して電気代を安く抑える事ができます。
家の光熱費は毎月かかる必要経費。
高性能な高気密高断熱住宅で30年、40年と生活していく中で、大幅に光熱費を削減できるのです。高性能な高気密高断熱住宅はローコスト住宅より坪単価が高くなるものの、より快適で毎月の光熱費を抑えることができます。
30年、40年のスケールで計算すると、高性能な高気密高断熱住宅の方が快適でお得。これこそが本当の意味で快適でエコな住宅なのです。
C値が大切な理由
追記ながら、家のC値は気密性能を示す値。数値が小さいほど、家の各部の隙間が小さく、気密性能が高くなります。
気密性能が高い家は、隙間が小さいため冷暖房効率が高まります。よって、快適な暮らしと節電に繋がるのです。また、外の湿度が高い空気が室内に入りにくくなります。湿度が高い空気は、湿度が低い方へ移動する性質があります。
ここで、気密性能が高くない家では、このような現象がおきます。
夏季、エアコンをONにすると、室温はもちろんのこと、湿度計が示す湿度もどんどん下がっていきます。部屋の湿度が50%まで下がったとしましょう。そして就寝前、エアコンの[切タイマー]ボタンを操作して、AM3:00でOFFに設定します。
翌朝、目覚めて湿度計を見ると、湿度が60%や65%に上昇していることがありませんか?なぜでしょう?
この理由は、外の湿度が高い空気がサッシの隙間や部屋の隙間から室内に侵入したからです。
日本は北海道を除き、湿度が高い国。湿度が高いと不快指数が上昇し、カビやダニが発生する原因になります。
だからこそ、C値はUA値とセットで考えるべき値であり、C値が低い高気密住宅の方が快適なのです。
耐震等級3が必須
YouTubeの構造塾のプロが木造住宅は耐震等級3が必須であると解説しています。
南海トラフ巨大地震が30年以内に発生すると叫ばれています。大地震で耐震等級1の家が半壊したものの、幸運にも家族全員の命が助かったとしましょう。
しかし、家が半壊したら、もう建て替えるしかありません。あなたは、二重ローンを払うことができますか?
家づくりの重要ポイント
・断然、おすすめは木造。
・ビルダーは工務店か設計事務所を選び、高気密高断熱住宅に強い会社を選ぶ。
・建設予定地と隣家の位置関係、影を考慮して設計するビルダーを選ぶ。
・家のUA値は「0.5」以下、C値は「1.0」以下を狙いたい。
・家のデザインは四角、あるいは直方体が望ましい。
→ 中庭のある家や凹凸がある家、複雑なデザインの家は断熱性能が低下し、メンテナンス費用もかかる。
・耐震等級3が必須。
・屋根に軒が必須。(軒が無い家は、雨漏りリスクがゼロではない。)
・外壁の色は白やベージュ、アイボリーなどの薄い色を選ぶ。黒色は×。
・吹き抜け空間を作るならば、高性能な高気密高断熱住宅+床下エアコンが必要。
→ 下手な設計で吹き抜け空間を作ると、夏は暑く、冬は寒くなる。
・ペアガラス(Low-E複層ガラス)が必須。サッシは樹脂サッシを選択。トリプルガラスも視野に入れる。
→ 他の住宅設備のコストを抑えてでも、窓にお金をかけるべし。10年、20年後、窓を高性能タイプに入れ替えるリフォームは不可能に近い。
・木造二階建てに屋上空間の設置は雨漏りのリスクがある。
・全館空調は富裕層向き。普通のエアコンの方がコスパが高い。
→ 全館空調が故障すると、全室の空調が停止する。全館空調の交換工事費用は200~300万円のため一般的ではない。
・換気方式は、できれば第1種を選びたい。
・高性能な高気密高断熱住宅ならば、床暖房は不要。
モデルハウスは一時の夢の世界
子育て世代が住宅展示場の豪華なモデルハウスに足を踏み入れると圧倒されてしまい、舞い上がってしまうものです。
各ハウスメーカーは技術力と威信をかけてモデルハウスを建てているため、子育て世代が室内空間を眺めて、ため息が出て当然なのです。
大手ハウスメーカーが建てているモデルハウスは明らかに豪邸であり、非現実的な家とも言えます。
地方圏の子育て世代が建てる家の大きさは、平均して延べ床面積が30坪前後。
30坪の家で1年を通して快適に暮らすためには、高気密高断熱住宅が必須なのは先ほど書いたとおりです。
そして、家づくりにとって重要なポイントは「窓」にお金をかけることです。この理由は、熱の多くは窓ガラスから出入りしているからです。
夏の暑さの約70%は窓が原因
夏季、窓ガラスから入ってくる日射熱が室温を上げてしまいます。エアコン効率が低下し、電気代が上昇します。
冬の寒さの約60%は窓が原因
冬季、暖房で暖められた室内の熱(遠赤外線)が窓から外へ流出しています。同時に、冷気で冷やされた窓ガラスが室温を低下させます。エアコン暖房の効率が低下し、電気代が上昇します。
確かに、モデルハウスの豪華なシステムキッチンやバスルームを眺めると、特に、女性は舞い上がってしまうことでしょう。ただ、これらの住宅設備は将来的にリフォームが可能なのです。洗面所も同様です。
工務店や設計事務所が提案する標準仕様のシステムキッチンやバスルームは別段、性能が劣る設備ではありません。これらの住宅設備は10年前の設備より、明らかに進化しています。
ここでもし、標準仕様からオプションで更なる上位モデルを選択すると、価格が大きく跳ね上がるためコスパの面で劣り、得策ではありません。
また、ジェットバスや窓の電動シャッターのような電気設備に憧れるかもしれませんけど、電気仕掛けの住宅設備は将来、必ず故障します。ミニバンの電動スライドドアも故障するのです。
よって、電気仕掛けの設備を選ぶならば、将来的な修理や交換を視野に入れておく必要があります。あるいは、なるべく電気仕掛けの贅沢な設備を選ばないことです。手動シャッターであれば、20年、30年が経過しても、故障することはほとんど無いのです。
あと、ウォシュレットはモデルによってはDIYで交換できるタイプもあります。人がトイレに入ると、自動で蓋が上昇するような高機能モデルではなく、標準仕様のウォシュレットで事足りるのです。
住宅設備は標準仕様を選び、「窓」にコストをかけることで、家全体の断熱性能を上げることができます。断熱性能が高い家は、夏は涼しく、冬は暖かく快適なのです。
遮熱断熱フィルムで更なる快適空間に
近年、地球温暖化の影響なのか、日本の夏は各地で猛暑日が続きます。眩しく暑い太陽の日射熱が窓から入り、部屋が暑くなります。
そこで、窓に「遮熱断熱フィルム」を貼り付けることで、夏の日射熱を抑制することができます。そして、断熱効果により、冬の寒さが和らぎます。
更に、遮熱断熱フィルムは朝日や西日の眩しさを低減してくれる日照調整機能もあるため、より快適な空間を整えることができます。
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