一戸建て住宅やマンションの床のフローリングは、大きく「無垢フローリング」と「複合/合板フローリング」の2種類に分けることができます。
それぞれ良さと特徴があるため、一概にどちらがいいとは言えません。
今、家づくりやマンション購入を検討されている方、そして、床のリフォームを検討している方は是非、無垢材と合板フローリングの違いを知っておいて損はありません。
無垢と合板フローリングの特徴、そして、メリットとデメリットを比較することで、より家族のライフスタイルにマッチする床材が見つかるはずです。
無垢フローリングと複合/合板フローリングの違い
– | 無垢 フローリング | 複合/合板 フローリング |
質感 | 高い | やや低い |
床の温かさ | 温かい | やや冷たい |
調湿性 | 高い | 低い |
耐久性 | 高い | 無垢材より低い |
耐傷性 | 低い | 高い |
防汚性 | 低い | 高い |
音 | 出やすい | 出にくい |
静電気 | 発生しにくい | 発生しやすい |
接着剤 | 未使用 | 使用 |
施工の 難易度 | 高い | 低い |
価格 | 高価 | 安価 |
■無垢フローリング
無垢材のフローリングとは、木をスライスして加工した床材を意味します。要は、加工された1枚板。単層フローリングとも呼ばれる無垢フローリングの断面に木の年輪を確認できます。
無垢フローリングの種類
無垢材にはいくつかの種類があり、木目と風合いが異なります。
【柔らかい木】杉、パイン、桧(ヒノキ)


【硬い木】サクラ、楢(ナラ)、ウォールナット、メープルなど

無垢フローリングのメリット,デメリット
メリット
・質感が高い
・床の表面が温かく感じる
・静電気が発生しにくい
・50~100年の耐久性
・表面をカンナで削ることができる
デメリット
・キズが付きやすい
・汚れが付きやすい
・幅の狭い1枚板を複数枚、貼り合わせるため木が伸縮し、踏むことで音が出やすい
・高価
無垢フローリングの価格が高くなる理由として、無垢材の価格プラス、大工さんが幅の狭い無垢材を1枚1枚、床に貼り付ける手間がかかります。
しかも、無垢材は伸縮する理由から、板と板の間にわずかな隙間を設けて施工する必要があります。このような理由から無垢材の床はコスト高となります。
無垢フローリングのまとめ
子供やペットが汚れた足のまま室内を走り回ると、無垢材に汚れが付きやすくなります。また、床に物を落とすとキズや凹みが付きやすいのが難点です。
しかし、無垢材ならではの質感と温かさ、耐久性は合板フローリングには無い大きな特徴です。
子供が成長し、床の汚れやキズの心配が無くなった家の床をリフォームするならば、無垢フローリングは選択肢の1つです。
■複合/合板フローリング
複合、合板フローリングとは、何枚かの薄くスライスした木の板を接着剤で固めた床材を意味します。
複合/合板フローリングの種類

複合/合板フローリングは大きく「挽き板フローリング」「突き板フローリング」「シートフローリング」に分かれます。
挽き板フローリング
挽き板とは、原木を2~3mmの厚さにカットし、合板の上に貼り付けた板。
突き板フローリング
突き板とは、原木を1mm以内の薄さでスライスし、合板に貼り付けた板。
シートフローリング
シートとは、樹脂などに木目模様を印刷し、合板に貼り付けた板。
複合/合板フローリングのメリット,デメリット
メリット
・キズが付きにくい
・汚れが付きにくい
・合板のため、踏んでも音が出にくい
・安価
デメリット
・質感が無垢材に及ばない
・ウレタン塗装により冷たさを感じる
・表面のひび割れなどで無垢材より耐久性が低い
・ウレタン塗装のため、静電気が発生しやすい
複合/合板フローリングのまとめ
10年前と今の複合/合板フローリングを比較すると、明らかに表面の質感が向上しています。離れた場所から合板フローリングを見ると、無垢材と区別ができないほど。
もちろん、近くで見た合板フローリングの質感は無垢材には及ばず、表面が塗装されているため人工的な印象を受けます。
しかし、合板フローリングは汚れにくく、キズが付きにくい大きな特徴あります。合板フローリングは子供が室内で走り回り、おもちゃを投げたり落としたりするような環境に比較的、強いと言えます。
フローリングの張り替えはDIYで可能?それとも業者に依頼?

DIY
中には、DIYでフローリングの張り替えを検討している方もいることでしょう。
必要な工具類
DIYでフローリングを張り替えるとなると最低限、丸ノコギリ、電動ドライバー、ハンマー、木製ハンマー、カンナ、ノミ、さしがね、メジャー、カッターなどの工具類が必要です。ホームセンターなどで電動工具を借りることで、費用を抑えることができます。あと、クギとネジ類も必要です。
材料
フローリング床材の種類は膨大なため、まずは無垢フローリングにするのか、それとも、合板フローリングにするのか決める必要があります。
失敗のリスク
あなたが生まれて初めてDIYでフローリングの張り替えにチャレンジするとなると、作業の難易度は高いと言わざるを得ません。
工具類と材料を仕入れて、フローリングの張り替えにチャレンジしたものの、途中で失敗してしまうと、諦めるしかなく、業者に張り替えを依頼せざるを得ない場合もあります。
その場合、工具類や材料費がムダになってしまい、時間も大きくロスしてしまいます。DIYでフローリングの張り替えは、よほどDIYの経験が長く、技術を持っている方を除いてお勧めできません。
業者に依頼
費用
業者に張り替えを依頼すれば、明らかに工期が短くて作業が確実です。餅は餅屋です。
そこで、業者にフローリングの張り替えを依頼する場合、工法が2種類あります。以下の費用は、あくまで目安です。フローリングの床材によって、リフォーム費用は前後します。
張り替え工法
今の傷んだフローリングを剥がして、新しいフローリングを張り付ける工法。基本的な工法です。
重ね張り工法
今のフローリングの上から新しいフローリングを張り付ける工法。床に段差が発生するデメリットがあります。
畳数 | 張り替え | 重ね張り |
6畳 | 9~18万円 | 6~14万円 |
8畳 | 10~20万円 | 8~18万円 |
10畳 | 12~22万円 | 10~22万円 |
家族構成の変化と家の寿命の関係
無垢フローリングのメリットの裏返しが、合板フローリングのデメリットになります。
合板フローリングのメリットの裏返しが、無垢フローリングのデメリットになります。
ここで、人が家に何年住むのか、長期的な視野で考えてみます。
世の中、100年の耐久性をPRしている家も存在します。しかし、30代の方が家を建てて、その家に100年間、住むことは不可能です。人の寿命より、100年住宅の方が寿命が長いのです。
100年の耐久性がある家とは、親の子供がその家に住む前提の家と考えることもできます。
ただ、親の子供(長男や長女)が成人し、その家で暮らす保証があるのか?と問われたら、返答に窮するのではないでしょうか?
長男が社会人になると、就職先によっては自宅通勤は不可能であり、会社付近のアパートや寮などで生活します。長女も同様です。そして、長男の就職先によっては、転勤の問題があるでしょう。
すると、長男は親が建てた家で生活できるかどうか未知数なのです。そして、長女は結婚して嫁いでいきます。子供たちの成長と共に、家族構成が変わっていきます。
ここで、改めて100年の耐久性がある家が必要なのか?という疑問が浮上します。そして、メンテナンスすれば、50年から100年の耐久性がある無垢フローリングが必要なのか?という疑問も浮上します。
もちろん、無垢フローリングの美点は耐久性だけではありません。無垢材ならではの質感と温かさは魅力的な特徴です。
まとめ
家に住む人のライフスタイルや家族構成、価値感によって床材の好みが分かれます。
結論として、床の暖かさを考えると無垢フローリングに軍配が上がります。合板フローリングは表面が塗装されているため、どうしても表面が冷たく感じるのです。
フローリングは、どの選択が正しい、正しくないという資材ではなく、嗜好品的な要素も含んでいます。無垢フローリングと合板フローリングのサンプルを見て、触り、木の模様と色、価格を含めて総合的に判断してはいかがでしょうか。
フローリングの色あせ、劣化対策

無垢フローリングや合板フローリングは直射日光を浴び続けると、日焼けによる色褪せと劣化が進行します。せっかく家族で話し合って決めたお気に入りのフローリングだからこそ、直射日光からフローリングを守ってあげたいもの。
フローリングなどの床材を直射日光から守る紫外線対策として、最も効果的なのは窓ガラスにUVカットガラスフィルムを貼り付ける方法です。
UVカットフィルムで対策

紫外線には、紫外線A波(UVA)と紫外線B波(UVB)が含まれています。
【UVA】
UVAは肌のシミやシワ、たるみなどの原因になります。
【UVB】
UVBは肌の日焼けの原因になります。
フローリングがUVAとUVBを浴び続けることで、日焼けによる色褪せと劣化が進行します。
そこで、窓ガラスにUVカットフィルムを貼り付けます。
プロが使う建築用UVカットフィルムは室内に入り込むUVAとUVBの両方を99%以上カットできます。よって、無垢フローリングや合板フローリングの日焼けによる色褪せや劣化を抑制できます。
同時に、カーテンやお気に入りの家具類、調度品を紫外線から守ることができます。
更に、台風による飛来物が窓ガラスを直撃しても、UVカットフィルムがガラスをしっかり保持してくれます。
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