2000年代に入り、リアドアガラスとリアガラスにプライバシーガラス/スモークガラスを標準装備する日本車が増加しました。
道路を行き交う軽自動車からコンパクトカー、ミニバン、SUVまで、多くの自動車はプライバシーガラス/スモークガラスがデフォルト化しています。
目の前を通過する車の10台中、8台、9台はプライバシーガラス/スモークガラスを装備しているような印象を受けます。
むしろ、プライバシーガラス/スモークガラスが非装備の自動車が少数派。
では、自動車のプライバシーガラスが標準装備化している背景とカーフィルム施工時の注意点について解説します。
自動車のプライバシーガラスがほぼデフォルト化
今やプライバシーガラス/スモークガラスが標準装備の日本車が大多数となっています。 それは、明確な理由があるからです。
いつの時代も、各自動車メーカーは機能性もファッション性も無い、無意味なパーツを標準装備することはあまりありません。
時代によって流りのパーツはあるものの、機能性やデザイン性に問題があったり、マーケットから受け入れられないパーツ類は自然淘汰されていきます。
そして、嗜好品としての傾向が強いアクセサリーパーツは別途、メーカーオプションやディーラーオプション、サードパーティーで用意されています。
プライバシーガラスの仕組み
プライバシーガラス/スモークガラスは普通のガラスに鉄、コバルトなどの金属を加えて着色したガラス。日本車のプライバシーガラス/スモークガラスは黒っぽく見えます。
プライバシーガラス/スモークガラスは普通のガラスより可視光線、遠赤外線(熱)、紫外線を吸収する構造、仕組みを持っています。
自動車のプライバシーガラスが標準装備の理由
多くの日本車が高熱線吸収/UVカット機能付のプライバシーガラス/スモークガラスを標準装備している理由として、以下が挙げられます。
・夏季、室温上昇の抑制
・エアコンの負荷軽減による燃費向上
・プライバシー保護
・乗員の日焼け対策
・車上荒らし対策
・室内の日焼け、劣化抑制
燃費対策
全自動車メーカーは国際的なCO2削減の命題が与えられているため、燃費向上のために様々な技術が車に投入されてきました。
それらの中で、プライバシーガラス/スモークガラスは夏季の車内温度の上昇を抑制し、エアコン負荷が軽減することで燃費向上に繋がります。
特に夏季、自動車のリヤシートに乗り込むと、プライバシーガラスの有り、無しの違いを体感できます。
自動車は住宅とは異なり、キャビンの前後左右全てがガラス張りのため、遮熱&断熱性能が低い構造。これが理由で、夏季は車内温度が上昇しやすいのです。
プライバシー保護
乗車中のプライバシー保護を求めるニーズが高まってきたため、プライバシーガラス/スモークガラスの標準装備化が進んできました。
日焼け予防
多くの女性は、乗車中の紫外線による日焼けを極度に嫌う傾向があります。
夏季、道路上を行き交う車を眺めると、ロングタイプのアームカバーをしている女性ドライバーを多く見かけます。
プライバシーガラス/スモークガラスの紫外線カット率は様々ながら、若干の効果は期待できます。
車上荒らし対策
車のガラス越しに金目の物が見えると、それが犯罪を誘発する可能性が高まります。
その点、プライバシーガラス/スモークガラスならば、犯罪を未然に防ぐ効果が期待できます。
車内品の日焼け劣化予防
自動車のシートやドアの内張り、センターコンソール等は強い紫外線による劣化対策を考慮して設計、製造されています。
しかし、それでも車のインテリアが受ける紫外線の影響はゼロではありません。
プライバシーガラス/スモークガラスが未装着の古めの車内を観察すると、明らかにシートの色褪せや劣化が見られます。
UVカット機能を持つガラスは中長期的に室内の色褪せや劣化対策に繋がります。
以上のように、自動車にプライバシーガラス/スモークガラスを採用することで複数のメリットが得られます。
カーフィルム施工
概ね、プライバシーガラスが標準装備の日本車が多いものの、オーナーによっては、自動車のフィルム業者にカーフィルムの施工を依頼しています。
この理由として、以下が挙げられます。
カーフィルムを施工する理由
プライバシーガラスの色が薄い
自動車メーカーが設定しているプライバシーガラスの中には可視光線透過率が高く、ガラスの色が薄い車種があります。
標準仕様のガラスでもUVカット効果はあるものの、プライバシー保護の面で弱さを感じることがあります。
このような場合、オーナーによってはカーフィルム/スモークフィルムの施工を選択しています。
プライバシーガラス未装備
特に、輸入外車はプライバシーガラスが未装備の車種が見られます。
とりわけ、欧州の夏は日本ほどは蒸し暑くないため、多くの欧州車はプライバシーガラスが未装備なのかもしれません。
あと、人気が高いTOYOTAハイエースなどの1BOXカーはプライバシーガラスが未装備の傾向があります。
なお、夜間の安全な後方視界を考えますと、リアガラスに可視光線透過率が低い濃色フィルムを施工すると、明らかに後方視界が悪化します。
リアガラスに濃色フィルムの施工に関する法的な規制は無いものの、一部を除き、適度な可視光線透過率のカーフィルムを選ぶオーナーが多いようです。
ガラス飛散防止
万一、側面衝突の事故が発生すると、ドアガラスは強化ガラスのため顆粒状に粉砕します。
車種によってカーテンエアバッグの有無の違いはあれど、粉砕したガラスが乗員に降りかかります。
ドアガラスにフィルムを貼ることで、万一の事故発生時、フィルムがガラスをしっかり保持してガラス飛散を防止してくれます。
安全性を担保する保険として、カーフィルムは安全、安心をサポートしてくれます。
カーフィルムの施工価格
カーフィルム業者に後席ドアガラス&リアガラスにカーフィルム施工を依頼する場合、施工価格の目安は次のとおりです。
車種 | カーフィルム施工価格 (円)税別 |
軽自動車 | 20,000~25,000 |
普通車 | 30,000~35,000 |
ミニバン | 30,000~35,000 |
大型輸入外車 | 40,000~50,000 |
フロントガラス&フロントドアガラスにカーフィルム施工時の注意点
カーオーナーの中には、フロントガラスと運転席&助手席のドアガラスにもカーフィルムを施工しています。
この場合、カーフィルム業者と相談の上、保安基準に適合するフィルムが選択肢に入ります。選択肢として大きく以下の2種類。
・遮熱タイプの透明フィルム
・オーロラフィルム(ゴーストフィルム)
自動車のフロントガラス、運転席ドアガラス、助手席ドアガラスの可視光線透過率+フィルムの可視光線透過率が「70%以上」であれば、保安基準に適合します。
遮熱タイプの透明フィルムであっても紫外線をカットする効果があり、乗員と室内の日焼け対策に効果を発揮します。
紫外線が気になる女性にとって、フロントとフロントドアガラス用のフィルムは気になる存在かもしれません。
【関連記事】
一戸建て住宅やマンション、ビルの窓ガラスの現状と対策
建築物の窓ガラスの現状
多くの一戸建てやマンションの窓ガラスは基本的にフロートガラス(普通の透明ガラス)が使われています。
そして、高気密高断熱住宅がデフォルト化しているため、多くの建物には複層ガラス(ペアガラス)が設置されています。
複層ガラスの中で機能性が高いLow-Eガラスが設置されている住宅があるものの、Low-Eガラスは紫外線を全てカットすることはできません。
そして、商業ビルの場合、場所に応じてフロートガラス、複層ガラス、合わせガラス、強化ガラス、型板ガラスが使われています。
室内に入ってくる紫外線の中で紫外線B波(UV-B)はある程度、窓ガラスに吸収されるものの、室内に入り込むUV-Bはゼロではありません。
また、紫外線A波(UV-A)は窓ガラスを透過して室内に入ってきます。
建築物の窓ガラスをカスタマイズ
このような現状から、現在の窓ガラスにガラスフィルムを施工することで付加価値を与え、機能性やデザイン性を高めることができます。
一戸建て住宅やマンション、商業ビル、店舗の窓ガラスに施工するフィルムには、自動車のガラスとは少々異なる機能性とデザイン性が求められます。
・紫外線カット(室内の日焼けと劣化の抑制、肌の日焼け、シミ、シワ予防)
・遮熱(日射熱をカット)
・断熱(室内の熱を保つ)
・ガラス飛散防止(台風の上陸時、飛来物によるガラス飛散防止)
・プライバシー保護
・デザイン性(空間をデザインするためのフィルム)
ガラスフィルムで窓ガラスの機能性UP
アナログな業界
「建築業界は自動車業界より遅れている。進歩が遅い。」という話を耳にしたことがあるかもしれません。
これは、建築業界の方にとっては耳が痛い話かもしれませんけど、これは、あながち間違いではありません。
と言うのも、この世の建築物はセキスイハイム®のような家を除き、現場でゼロから施工がスタートします。
元請はお施主様との打ち合わせからスタートし、資金計画、敷地調査、設計士による設計、詳細プランニング、工事請負契約、地鎮祭、基礎工事、上棟式を経て建物が出来上がっていきます。
これらの過程で、各分野の専門家と職人さん達が現場に集結して施工する以上、アナログのプロセスが多々存在します。
建築物は現場施工である以上、物づくりには各分野の熟練の技が必要です。
建築現場では、自動車の製造工場のようにロボットを含めた産業用機械によるオートメーション化が不可能なのです。
想定外の現実
もちろん、建築業界の中で建築資材は確実に進化を続けています。
例えば、建物のサッシはアルミサッシからアルミ樹脂複合サッシや樹脂サッシへ、そして、窓ガラスは単板ガラスからペアガラスやトリプルガラスへと進化してきました。
建築物は1棟1棟、設計が異なり、間取りも異なります。
設計段階のCAD上ではパーフェクトな設計であっても、建物の完成後、お施主様は想定外の現実を目の当たりにすることが少なくありません。
念願の新居へ引っ越して、お施主様は家に何らかの不満を抱き始めるのが普通です。
例えば、
・西日が眩しい
・外からの視線が気になる。
・夏季、日射熱で室内が暑い
・冬季、室内が寒い
・吹き抜け空間が夏は暑く、冬は寒い
以上のようなリアルな不満が浮上してくるケースがあります。
そのようなケースにおいて、窓ガラスフィルムがガラスに新たな機能性を加えることができます。
詳細は関連記事をご参照ください。
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