平成15年(2003年)以降、日本国内の侵入窃盗の件数は減少傾向にあるものの、認知件数は1日平均、約171件。そのうち、住宅の認知件数は1日平均、約100件というデータが報告されています。
侵入窃盗は「空き巣」「忍込み」「居空き」の3つに区分されます。
誰もが「空き巣」という言葉を耳にしたことがあるものの、「忍込み」と「居空き」という言葉は聞き慣れないのではないでしょうか?
まずは、これらの言葉の意味を押さえた上で、空き巣被害の現状、シャッターサッシ(雨戸)の減少、そして、防犯対策について考えてみたいと思います。
空き巣被害の現状
空き巣、忍込み、居空きの意味
空き巣
空き巣(あきす)とは、住人が留守中、窃盗犯が住宅内に侵入して金品を盗むことを意味します。空き巣狙いとも言われます。
忍込み
忍込み(しのびこみ)とは、住人が就寝中の夜間、窃盗犯が住宅内に侵入して金品を盗むことを意味します。
居空き
居空き(いあき)とは、住人が在宅中、窃盗犯が住宅内に侵入して金品を盗むことを意味します。
侵入窃盗の手口(平成30年)
侵入窃盗の 手口 | 件数 | 割合 |
空き巣 | 22,103 | 約60% |
忍込み | 7,409 | 約20% |
居空き | 1,859 | 約5% |
その他 | 5,292 | 約14% |
侵入手段(平成30年)
空き巣の 侵入手段 | 件数 | 割合 |
無締り | 8,343 | 約38% |
ガラス破り | 9,326 | 約42% |
施錠開け | 1,538 | 約7% |
ドア錠破り | 565 | 約3% |
戸外し | 108 | 約0.5% |
その他 | 610 | 約2.8% |
不明 | 1,613 | 約7% |
忍込みの 侵入手段 | 件数 | 割合 |
無締り | 5,270 | 約71% |
ガラス破り | 1,140 | 約15% |
施錠開け | 237 | 約3% |
ドア錠破り | 54 | 約0.7% |
戸外し | 51 | 約0.7% |
その他 | 372 | 約5% |
不明 | 285 | 約4% |
居空きの 侵入手段 | 件数 | 割合 |
無締り | 1,486 | 約80% |
ガラス破り | 183 | 約10% |
施錠開け | 35 | 約2% |
ドア錠破り | 10 | 約0.5% |
戸外し | 1 | 約0.05% |
その他 | 45 | 約2% |
不明 | 99 | 約5% |
(出典:2019 警察庁、犯罪情勢 )
平成30年のデータから、無締りは別として、窃盗犯の侵入手段として「ガラス破り」の割合が「67.0%」で最も多いことが読み取れます。
そして、割合としては少ないものの、強引な戸外しも発生していることから、より凶悪な窃盗犯も存在することが読み取れます。
一戸建て住宅のシャッターサッシの減少
当ブログ管理人の記憶を遡ると、1990年代までは、雨戸付きの新築一戸建て住宅が多かった記憶があります。その後、住宅のデザインと工法に変化が見られ、高気密高断熱住宅が増えてきました。
しかし、高気密があだとなりシックハウス症候群の問題が浮上していったのです。国はこれを問題視し、2003年7月1日に改正建築基準法が施工され、居室に24時間換気システムの設置が義務化されました。
このように家づくりが変わり、法律改正と同時進行するかたちでシャッターサッシ(雨戸)を設置する家が減少してきたような印象を受けます。
かつての一戸建て住宅の雨戸は横引きシャッターが多く、今日は上下方向に可動するシャッターサッシがメイン。
シャッターサッシは防風、防雨、防犯、遮熱、遮光効果があります。しかし、住宅のデザイン性やペアガラスの採用(樹脂サッシ採用による性能向上)、コスト面等からシャッターサッシを設置しない家が増えたのかもしれません。
また、地域によってはシャッターサッシを設置しないようです。
急増した高性能サッシ
2012年、住宅のアルミ複合樹脂サッシ(木製アルミ複合サッシ含む)と樹脂サッシの採用率は全国平均で9%前後でした。
そして2017年、それらは56%前後まで上昇しています。(フラット35対象物件)
2012年から2017年の期間で、高性能サッシの採用率が6倍以上に増加していることから、高性能サッシと複層ガラスが大きな人気を博していることが窺えます。
しかし、ペアガラスであってもガラスを2枚セットした構造である以上、外側にシャッターサッシを設置した方が防犯性が高まるという考え方もあります。
時代と共に家づくりが変わり、シャッターサッシを設置しない家が増えました。
これにより、台風の上陸時、飛来物によるガラス飛散防止や防犯性の確保が今日の住宅のテーマの1つと言えるのではないでしょうか。
防犯フィルムで防犯対策
前提として、この世に割れないガラスは存在しません。
各国のVIP要人が乗車する防弾ガラス搭載車両は別として、建築物で使われている窓ガラスの中で、防犯性が高いガラスとして強化ガラスや合わせガラス(防犯ガラス)が挙げられます。
そして、空き巣や忍込み、居空き対策として、防犯ガラスフィルムの施工はコストパフォーマンスが高い方法として知られています。
一般的なフロートガラスに防犯フィルムを施工すると、金属バットで複数回、強打してもフィルムがガラス全体を保持します。
建物を狙う窃盗犯の多くは、建造物への侵入にかかる所要時間が「5分」以上、経過すると諦めるというデータがあります。
窃盗犯は人目と物音を極度に恐れるため、犯行に手間と時間がかかる建物を避けるのです。
空き巣対策として、窓ガラスに防犯フィルムが施工されていると、泥棒は犯行を諦める可能性が高まります。これは犯罪の未然防止に繋がります。
同時に、防犯フィルムはガラスの飛散防止効果が高く、台風の上陸時、飛来物によるガラス飛散を防止できます。
防犯フィルムの施工費用
防犯フィルムの施工費用は種類によって異なります。詳細は関連記事をご参照ください。
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