警視庁の犯罪情勢統計資料によりますと、2018年の住宅侵入窃盗の認知件数は約37,000件。まだまだ多い、空き巣狙い。
一戸建て住宅の場合、マンション以上に高い防犯意識と対策が求められます。
ここで、建物の防犯対策がいくつか頭に浮かぶことでしょう。
あなたは「あの防犯対策が効果的では?」と思い込んでいるかもしれません。しかし、実は意外にも、それほどでもないようです。
では、日本犯罪心理学会のデータを元に、当ブログは一軒家の効果的な防犯対策を考えてみたいと思います。
空き巣犯が犯行を諦めた理由ランキングTOP8
Ranking | 空き巣犯が犯行を諦めた理由 | 割合 (%) |
1 | 声を掛けられた | 39.6 |
2 | センサーライトが設置されていた | 35.6 |
3 | 犬がいた | 27.7 |
4 | 警備会社のステッカーの貼付 | 20.8 |
5 | 窓に補助鍵が付いていた | 16.8 |
6 | 防犯カメラが付いていた | 15.8 |
7 | 警察官に出会った | 13.9 |
8 | 頑丈な面格子が付いていた | 13.9 |
9 | その他 | 25.8 |
ランキングTOP8を考察
ランキング1位-声を掛けられた
不審に感じた近隣住民が積極的に不審者(空き巣犯)に声をかけることで、犯行を未然に防ぐ効果があると考えられます。
ランキング2位-センサーライトの設置
センサーライトが設置されている一戸建て住宅をよく見かけます。
夜間、センサーライトの人感センサーが周囲の温度変化をセンシングしています。人感センサーが近づいてきた人の熱を感知し、LEDライトが点灯する仕組み。
センサーライトは種類が多く、ホームセンターなどで手軽に入手できるセンサーライトから、電気工事で建物に組み込むタイプまで様々。
センサーが人を感知すると、LEDがタイムラグ無く瞬時に点灯します。夜間、LEDは眩しさを感じるほど明るく点灯します。
このセンサーライトの電源は3種類。
センサーライトの電源
センサーライトの電源は「AC100Vタイプ」「アルカリ乾電池式タイプ」「ソーラーパネル式タイプ」の3種類。どのタイプもDIYで取り付けが可能。
なお、AC100Vタイプを選択する場合、ライトの設置場所によっては、専門の電気工事業者に設置工事を依頼する必要があります。
各タイプのメリットとデメリットはこちら。
■AC100Vタイプ
家庭用100Vコンセントにセンサーライトを接続するタイプ。住宅の外壁に設置されているコンセントを利用してセンサーライトを設置します。
メリット
・高輝度LED&高ルーメンで一番明るい
・電池交換が不要
・バッテリー劣化による交換が不要
デメリット
・家から離れた場所にAC100Vタイプを設置する場合、防水対策を含めた電気工事が必要
このような方におすすめ
・とにかく明るいLEDがいい
・メンテナンス不要のタイプがいい
・センサーライトを設置する場所が家の外壁コンセントから近い
■アルカリ乾電池式タイプ
単1アルカリ乾電池を3本使用するセンサーライトを多く見かけます。
メリット
・設置場所を問わない
デメリット
・定期的な電池交換が必要(約1年に1回)
・LEDの明るさはAC100Vタイプに及ばない
このような方におすすめ
・家から離れた門やガレージ等にセンサーライトを設置したい
■ソーラーパネル式タイプ
日中、ソーラーパネルでリチウムイオン電池を充電し、夜間に作動するタイプ。
メリット
・日陰を除き、設置場所を問わない
デメリット
・定期的なバッテリー交換が必要
・LEDの明るさはAC100Vタイプに及ばない
・ソーラーパネルに太陽光が十分当たる場所に設置する必要あり
このような方におすすめ
・家から離れた門やガレージ等にセンサーライトを設置したい
ランキング3位-犬の存在
犬を飼っている方や飼った経験がある方でしたらご存知のように、犬種で番犬になる、ならないが決まる訳ではありません。
例えば、見知らぬ人に対してフレンドリーなラブラドールレトリバーであっても、その子の性格によっては番犬仕事をします。
犬の聴覚は人間より数倍以上も優れている以上、24時間365日、昼夜を問わず、ワンちゃんによっては番犬仕事をしてくれる頼もしい家族の一員。
いずれにしても、空き巣犯にとって「犬 = 吠える」存在である以上、犬は防犯に貢献してくれる大切な家族の一員です。
ランキング4位-警備会社のステッカー
よく、セコム/SECOMやアルソック/ALSOKのステッカーが貼られている一戸建て住宅、店舗、商業ビルを見かけます。キラキラと輝くメタリック調のステッカーは目立ち、防犯対策を示しています。
なお、個人宅と警備会社の契約は決してコスパがいいものではありません。警備会社との契約は主にオフィスや店舗、商業施設向きの警備システムと言えます。
ランキング5位-窓に補助鍵付き
予め窓サッシに補助鍵が設置されているタイプから、後付けで簡単に取り付けできる補助鍵まで様々なタイプがあります。
空き巣犯が窓をこじ開けようとする際、補助鍵の存在は一定の防犯対策になるようです。
ランキング6位-防犯カメラ付き
身近なコンビニや商業施設、ビルなどに設置されている防犯カメラは防犯効果が高い印象を抱きます。ところが、ランキングでは意外の6位。
もしかして、空き巣犯は犯行時に変装しているのか、彼らに防犯カメラの効果が薄いのかもしれません。
ランキング7位-警察官に出会った
邪(よこしま)な心を持つ不審者の視界にパトロール中の警察官が入れば、当然、犯行を踏みとどまる流れになります。
ランキング8位-頑丈な面格子付き
面格子とは、主にキッチンや洗面所、バスルームの窓の外側に取り付けるアルミ製の格子。面格子は一定の防犯効果があると考えられているものの、ドライバー1本で外せてしまう構造です。
面格子は空き巣犯の犯行を思い留ませる効果が薄いのかもしれません。
その他
その他、空き巣犯の犯行を諦めさせる対策として、「防犯砂利」「防犯ステッカー」「クレセントガード」「窓用アラーム」「窓用防犯フィルム」「窓シャッター」「オープン外構」などが考えられます。
防犯砂利
これらの中で、防犯砂利は防犯効果が高そうに思えるものの、ランキングには入っていませんでした。もしかして、空き巣犯は防犯砂利の存在を知らないのかもしれません。
ちなみに防犯砂利とは、人が防犯砂利の上を歩くと、大きな音が発生します。中には76.5dB(デシベル)の音を出す防犯砂利もあります。76.5dbは掃除機の音に相当する音量。
空き巣犯は犯行時、音の発生を極度に嫌うため、防犯砂利はその心理を突いた製品。家の周囲に防犯砂利を敷き詰めておけば、防犯効果が期待できます。
なお、家の住人がよく家の周囲を歩くのであれば、防犯砂利から発生する音で近所迷惑になる恐れもあります。また、防犯砂利は砕石ほどの防草効果が無いため、別途、防草シートを検討する必要があるかもしれません。
家のおすすめ防犯対策TOP4
やはり、防犯対策が1つだけでは心許ありません。防犯対策は空き巣犯に対するハードルであり、予防線。予防線は1つより、2つ、3つ、4つ用意した方がより防犯性が高まります。
そこで、上記の「空き巣犯が犯行を諦めた理由ランキングTOP8」を踏まえた上で、建物の防犯効果が期待できる防犯対策グッズや防犯対策を挙げてみます。
No.1-センサーライト
「空き巣犯が犯行を諦めた理由ランキングTOP8」の中で注目したいのは、ランキング2位の「センサーライト」。明るく光るLEDセンサーライトは防犯対策に期待できます。
更に夜間、住人が家に出入りする時、センサーライトが明るく足元を照らしてくれます。家の住人は荷物を持って建物に出入りすることが多く、夜間のセンサーライトは便利で安全な生活をサポートしてくれます。
センサーライトは日常生活の安全を担保してくれる安心対策とも言えます。
No.2-防犯ステッカー
あえて警備会社と契約して家の門や各窓に警備ステッカーを貼らなくても、ホームセンターや通販で入手できる「防犯ステッカー」を家の各窓に貼る方法があります。
これは、自動車のドアガラスに[盗難防止アラーム内蔵]ステッカーを貼り、車上荒らしや盗難を予防するのと同じ。
防犯ステッカーの防犯効果を証明することはできないものの、ここで、空き巣犯の心理を考えてみます。
空き巣犯の心理
空き巣犯は犯行前に下見すると言われます。空き巣犯が持つ、独自の感覚で建物を物色していると推測できます。
ここで、空き巣犯の心理を考えてみます。
空き巣犯の複数の選択肢(建物)の中で、SECOMやALSOK、独自の防犯ステッカーが貼られている建物と何も貼られていない建物のどちらを選ぶでしょうか?
防犯ステッカー「有り」の建物
vs
防犯ステッカー「無し」の建物
前提として、空き巣犯の家の選択肢は膨大な数にのぼります。頭の悪い空き巣犯であっても、人は深層心理に損得勘定を持っています。
察するに、空き巣犯は可能な限りリスクを減らして犯行に及ぶはず。
としますと、空き巣犯はSECOMやALSOK、独自の防犯ステッカーが貼られている建物に対して、敷居の高さとリスクを抱くはずです。
(空き巣犯) → | | | → (A宅の屋内)
↑
防犯対策
↓
(空き巣犯) → | → (B宅の屋内)
上記の「|」は1つの防犯対策を意味します。空き巣犯は3重の防犯対策が施されているA宅「| | |」より、防犯対策が甘いB宅「|」を選ぶのではないでしょうか?
No.3-オープン外構
オープン外構とは?
オープン外構とは、一戸建て住宅の周囲に門扉や背の高いフェンス、目隠しフェンスを設置しない外構を意味します。平成から令和にかけて、上の写真のような新興住宅地の家々のほどんどはオープン外構です。
ちなみに、アメリカ合衆国では、オープン外構の家々を多く見かけます。
クローズド外構とは?
反対にクローズド外構とは、家の周囲に背の高い塀やフェンスを設置する外構を意味します。
昭和の時代、背の高い塀やコンクリートブロックで囲まれた家を多く見かけました。
そのような外構では、不審者が敷地内に侵入すると、外から見えない死角を作ってしまいます。また、ブロックを積み上げるブロック塀は地震による倒壊リスクが高く、かつて痛ましい事故が発生しています。
オープン外構が主流
以上の背景があり、平成から令和の時代にかけてオープン外構が主流。
オープン外構であれば、不審者が隠れる場所が無く、もし、不審者が家の周囲をうろついていれば目立ちます。防犯対策からも、オープン外構がトレンドです。
No.4-防犯フィルム
空き巣犯の侵入口の約「70%」は窓。空き巣犯は割りやすい「窓」からの侵入を好むようです。
そして、警視庁のデータによりますと、空き巣犯は侵入に「5分」以上の時間がかかると約「70%」が諦めるようです。
空き巣犯であっても、リスクヘッジを考えるようです。
空き巣犯は敷地に侵入し、建物内に侵入するまでに複数のハードルがあります。
空き巣犯が家への侵入に手間と時間がかかると、隣家の住民や通行人に見つかってしまうリスクが高まります。集合住宅の場合、住人が不審な物音に気付く場合もあるでしょう。
複数の防犯対策の中で、空き巣犯が建物への侵入に「手間と時間がかかる」ように対策を施すことが犯行の未遂に繋がります。
空き巣犯が窓からの侵入を好む以上、空き巣対策として、窓ガラスに「防犯フィルムの施工」が効果的だと考えられています。
防犯フィルムのメリット
・窃盗犯による犯罪の抑制効果
・99%以上、紫外線をカット
→肌の日焼け、シミ、シワ、たるみの予防効果。
→フローリング、カーペット、畳、壁紙、カーテン、家具、調度品などの日焼け、色褪せ、退色、劣化の抑制。
・台風上陸時の飛来物によるガラス飛散防止効果
防犯フィルムの施工価格
防犯フィルムは種類によってフィルムの価格が異なります。詳細はこちらをご参照ください。
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